Run, Run, Run and Run

舞台俳優ファンの観劇記録

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル ― はじめてのインディ・ジョーンズ

以前のエントリーで「映画を観たい」と言っておきながら早9ヶ月。

びっくりするほど映画を観ていませんでしたが、ひょんなことから最新作を観ることになり過去作も視聴しました。ばんざいディズニープラス。

マッツ・ミケルセン氏が存分に魅力を発揮されていたのでそこ中心の覚書です。

※ネタバレしかありません

※3作目はまだ観ていない人間の感想なことをご了承ください

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さて。

この映画、もちろんタイトルやなんとなくのストーリー、雰囲気は知っていたものの恥ずかしながら一度もまともに観たことがありませんでした。それこそディズニーシーのアトラクションで曲は知っているけどくらいの素人です。たしか以前テレビ放送か何かで遺跡

に入っていくシーンだけは見た覚えがあるのですが、何せ深夜だったかで途中だけ見たのと、話の流れもさっぱりわからない中でペトラ遺跡の図だけが頭に残っていました。

たまたま『リメンバー・ミー』をもう一度観ることがあってディズニープラスをダウンロードしており、調べてみたら特集中。これ幸いと1作目・2作目まで履修したところで本作を観に行きました。

マッツ・ミケルセンの色気 

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この方がとんでもないことは知っていたのですが、まさかこんな形で見ることになるとは思ってもみませんでした……。

「知性が高い」「不憫」「眼鏡」「イケオジ」「悪役」なんて私得でしかないキャラクター、好きにならざるを得なかった。こんなにも属性を盛っているのに、衣裳はたくさん着替えるわ必死シーンもあるわで美味しいところしかない。彼が画面に映るたびに目が行ってしまって、1秒1秒を愛おしく見てしまいました。

出だしから出会い頭にインディに殴られ、戦利品を奪われ、挙句看板に激突して走行中の列車から落下。それでも生きて現代まで生き延びて、悲願達成のために頭脳をフル回転する。こんな魅力的な悪役がいますか?ここにいました。

カーチェイスでもなんでも、必ず一回はよれよれになる彼が好きです。悪役だけど絶対的な勝利や超能力はなくて、あくまでも"人間"として泥臭く戦っていく姿に好感を覚えます。

わからないことはインディにだって聞くし、戦闘役は適材適所。自分に足りないもの、持っているものをきちんと理解したうえで、目的のためには立場関係なく必要なピースを揃えていく合理的さも大好きです。敵味方とかいう概念を超越して自分の道を固めていく姿が魅力的で、「勝利」に向かって1ミリたりともぶれずに進んでいく彼のある意味狂気的な思考があまりにも自然に思えてしまうんです。

彼の中では実現して然るべきルートであり、それ以外のことはどんな偉業でも関係なく興味もない感じがいいなと。冷徹で人に対する思い入れがなさそうなのにちょっとジョークみたいなことも言ったりして、社会生活普通に送れてる感じもいいですよね(インタビューの場面)。飛行機でメイソンに怒られてるところはどこか子どもみたいな感じもして、また一つ魅力的でした。まあそのあとえげつないことするんですけど……

かっこよくバトルして主人公に倒されるヴィランではなく、あと一歩足りなくて乱れた計画に飲み込まれて斃れていったユルゲン・フォラー。最後までそばにいたクレーバーとは対照的なコンビでしたが、静と動・水と炎みたいな感じでなんだかよかったですね。運命を悟って呆然と目の前の光景を眺めるしかなかった二人ですが、あの間がそれはそれは芸術的。絶妙な長さで見せつけられたあの表情が、もしかしたら一番好きかもしれません。

作品全体 

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作品そのものとしてはザ・インディ・ジョーンズ!という感じ(たぶん)。アクション、ミステリー、ナチス、異文化、それから少しの虫と豪快に(あるいはやや雑に)減っていく頭数!!これは正直個々人の好みですけどすんごい乱暴に人間の数が減る印象があって。ノリ(テンポ感)と画面効果でさくさく人がこう目減りしていく印象が一作目から拭えなかったのですが、今回もそんな感じで人が減ってましたね特に列車のシーン。自分は一人一人に命を終える意味があってほしくて、でもある意味ああやってばたばた人が消えていくのが意味といえば意味だからいいのかと思いながら。

あとはやっぱりドイツ語が少しでも分かればもっと楽しめるんだろうなというのは否めませんね!!マッツさんが話す一言一句を理解したい。これはきっと本国に合わせてのことだとは思うのですが基本字幕は英語部分のみなので、何を喋ってるんだろう?というのは気になります。

伏線や小ネタの散りばめ方も好きです。話が一本の軸のまわりで展開するからわかりやすい。初めて聞く単語が多くてもちゃんとついていけますし、なんとなくそういうものとして理解ができました。お墓で腕時計に触れたときは何かあったんだなー程度にしか思わなかったのが、フォラー氏が時計を着けた瞬間の意味ありげなクローズアップで察しましたよね…………。話しながら手を動かすあのシーンの仕草大好きです。

冒頭の過去シーンではどうやって撮影したかが不思議だったのですが、それ用の技術があると知って驚きました。技術も凄いし、現在のご本人が演じてらっしゃるっていうのも凄い。このあたりはビハインド映像など出たりするんでしょうか。かなり興味深いです。

→と思ったら触れられていました

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学者肌の人が好きな私にとって、学者vs学者となった今回の物語は年齢を重ねた因縁持ちの二人による、等身大の頭脳戦に思えてとてもよかったです。筋力と勇気が全てを解決しても良いですが、インディが考古学者でありトレジャーハンターではない感じと言いますか。ちゃんと謎を解いて、理屈を説いて、超常現象はありつつそれすらも説明できるのが個人的にはすっきりします。理解できる人とできない人を置いてくれるから観客も置いてきぼりにならないですし、当たり前ですけどそういうところも計算されてるんだなあと思いました。

リーダー以外のバトル担当がそれぞれ別の属性持ちなのもすてきですね!!

よく喋る忠犬系マッチョ男性+無口ガードマン系大男、行動派成人女性+スピード系現地男児とはまた夢がある。賢くて精神的に強い、しかも男性にボディーガードをさせない女性キャラは嬉しいです。日本でも「ただ気だけが強くてどこかに男の影がある女」以外のつよい女性キャラがもっと増えますように。

 

観た翌日から既にもう一度浴びたくなった作品でした。私は普通の映画館で観ましたが、乗り物シーンも多いので4DXでもかなり楽しめるんじゃないかと。酔いやすい方は注意かもしれません。

本日時点でまだまだ公開中です!迷っている方も気になっている方も、ぜひ劇場でご覧ください。

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