Run, Run, Run and Run

舞台俳優のいちファンの観劇記録ブログ

スカーレット・ピンパーネルを観てきました・マダムギロチンについてのあれこれ

 先日友人にお誘いいただいてACTシアターで上演中のスカーレット・ピンパーネルを観劇しました。

 刀ステで東さんの歌声いいな…!と思い取ったチケットでしたが、公演日までにくぼひでさんやメルシエ役の佐々木崇さんなど気になる方が増えていたのでさらに楽しみが増しました( ´ ▽ ` )ノ

 結論から言うと、チケットが増えた!!!笑笑笑

 最初は1枚買い増しただけだったんですが、今はもう1回行けそうな日にどうするか画面を開いては閉じ開いては閉じを繰り返しています…(^-^)

 

 さてさて、私はこれが初めてのスカピンで話も曲も初めましての状態で観に行ったのですが、感想をつぶやいたところ他の友人から反応をもらって宝塚版・ブロードウェイ版などと違う点がいろいろと存在することを知りました。

 唯一きちんと観たことがあるという点は大きいですが、私としては梅芸版がとても好みだったので備忘録がてら好きなところと他の版との比較とをしてみようかな?と思い書いたのが下の文章です。

 と言っても特に好きな曲の一つ、『マダム・ギロチン』についてしか書けていませんがせっかくなのでブログに載せておきます。

 少々長文ではありますがもし宜しければコメントやご指摘などお待ちしております。

 

 

 

 

 ※まず私がちゃんと見たことがあるのは梅芸版のみだということを念頭に置いてお読みください


 梅芸版で特徴として挙げられるかな〜と思うのは、
1)ロベスピがいない(≠宝塚版)
2)民衆がソロで歌うシーンがなくずっとショーブランのターン+サン・シール侯爵ソロ(≠宝塚版、BW版)
3)「女王万歳!」(≠宝塚版)
このあたりでしょうか…演出面についてはBW版の映像を見ていないので比較はせず個別に挙げることにします。

 まず全体を通して言えることとして、歌詞は梅芸の新訳(?)がわかりやすくて好き。平易すぎるという意見もあるかとは思いますが初見でなんの予備知識もなく観る場合はあれくらい現代の言葉遣いに沿って簡単になったものが聞きやすく、すっと落ちてくるので理解がしやすくて宜しいのではないかと。

 ロベスピエールが登場しないのは逆に言うと宝塚版で足されたという解釈で良いのでしょううか?個人的にはショーブランオンリーのほうが、まだ序盤でキャラが見えきっていない彼の紹介という意味でもバラつかなくていいと思います。正直梅芸版の組み方だとロベスピはほとんど話の筋に関わってこないですし。

 同じことが民衆ソロの削除にもいえて、全部ショーブランが歌うことによって彼の革命理念とか這い上がってきた感じが伝わってくるので良いと感じました。民衆がソロを歌うとどうしてもどこで誰が歌ってるんだ?という点に気が行ってしまって歌詞があやふやになったり、なんとなくせわしなくなってしまうので。またショーブラン以外の声を削ることで逆にサン・シール侯爵のソロが際立つし、名前を呼ばなくても(本当は言ってたような気がするけどはっきりは記憶にない)彼の存在が印象づけられて、次の結婚式で「サン・シール侯爵が処刑された/ギロチンにかけられたんだ」が入っても彼を思い出しやすくなっている気がします。初見の時はあ〜あの人があの人か!みたいな納得がありました。正直最初は処刑シーンの為に出てきたモブかと思っていて、それにしてはソロの歌声が素晴らしかったので覚えていたのですがここで名前付きの役だったということがわかり腑に落ちました。

 最初の歌詞に「どぶ川で〜」というフレーズがあってこれは元の歌詞を参照すると"I know the gutter and I know the stink of the street"なんですが(URL後述)、これをあえて「貧民街」にするのではなく直前でパーシーが言った「無実の人たちの血がドブに流れるフランス」にかけてくるあたり好きです…。個々のセリフと歌がそれぞれの流れでつながっていると入り込みやすい。それとやはり現代の日本では貧民街よりもどぶ川の方がまだ耳馴染みがある言葉だと思うのです、いきなり貧民街と言われると時代がかった印象を受けるのは私だけでしょうか。

 それにしてもフランス革命の内容をきれいに忘れていた私ですが、ショーブランが「おれはどぶ川を知っている(うろ覚え)」と歌ってくれること、また2幕の頭でロベスピが貴族階級への怒りを含めて彼の理念をぶつけてくれること(マダムギロチンにも入っていた気がするけど定かではない)で革命が庶民→貴族の不満を爆発させたものだと思い出せてよかった。だからこそのレディ・ブレークリーとなったマルグリットへの「こんな、金持ちの屋敷!」ですよねショーブラン。かつて庶民の側として一緒に金持ちを憎み斃したマルグリットへの皮肉。それをわかっているからマルグリットは目を逸らしてしまうし、もっと言えば英国貴族のパーシーが離れると考えている?今ようやく気づいた。単に活動的な女というだけでなく貴族に対抗していたからなのか…。初見では橋のシーンになるまではマルグリットの過去が詳しくはわからないから、2回目以降にオッと思える場面の一つかもしれません。

 他の場面との連関という面では、サン・シール侯爵のソロも一つ取り上げたい部分です。ソロの最後は"the terror like a fire in the air"だけれども、このfireはパーシーがピンパーネル団を結成し最初に海を渡るときの"into the fire"と繋がるのかなあと思ったり。炎に関する言い回しについては英語が不勉強すぎて存じ上げませんがそういうイディオムがあるのかな…?a fire in the airという言い回し、fireは不定形のものなのに冠詞がaなのが気になっています、どういう場合にそうなるんでしたっけ。そしてまだ比較検討できていないけれどパーシーが一人で行くみんなは帰れって歌う曲の歌詞もちゃんと読んでみたいな…。そことも関わってきそうな気がしてなりません。

 「女王万歳!」について。最初は女王?と完全についていけませんでしたが、参照したサイトで(以下""内引用) "この曲の中で神とも女王とも呼ばれるギロチン。救済してくれない神を否定し、自らの手で国王を処刑したフランス民衆が代わりに崇めるもの。"と書かれていてほへー!と驚いてしまった。なるほどそういう意味が…。宝塚版では「われらの女神!」だったけれど、原曲を見ると"HAIL HER MAJESTY!"。私はher majestyというとやはり女王という訳がしっくりくる、しかし、上で引いた解釈をよりわかりやすくするのは宝塚版の女神という言葉だとも感じます。これは私個人の問題ですが、どうしても女王というとイギリスが浮かんでしまい一瞬皮肉か?と思ってしまったし、フランスと女王というイメージが結び付きにくかった。王妃であれば間違いなくマリー・アントワネットになりますが…。カトリック国のイメージが強いフランスでのギロチンへの信仰、なかなかに興味深いです。

 さていよいよ演出について言及すると、他の場面でも感じたことですが本当に割幕や照明の使い方が好み。最初の影絵に始まり度々劇的に場面を転換させる幕の前後の舞台装置の違い然り、謎〜疑いのダンスの3人ソロそれぞれへの白スポット然り、見せたいところを示しつつ他を潰さない使い方が当たり前のことかもしれないがとても舞台に入り込みやすかったし素敵でした。(☆疑いのダンス公式舞台動画がちょうど今日公開されましたね!好きなところが出ていて嬉しいです)

 この場面で1回目から感嘆したのがラストでギロチンごとショーブランが下がっていくところ。ギロチンの真下で暖色のライトを当てられながら真っ暗な場所へ溶け込んでいって、最終的に割幕が下がって見えなくなるのですが彼が退場しきるよりも前に左右から婚礼衣装のパーシー・マルグリットが現れる。その中央にはショーブランがいる。この先2人の結婚生活が冷えきるのもショーブランから零れたメモが発端だし、パーシーがマルグリットへの疑いを晴らしきれないのも彼がいるから。伏線を張るのとは少し違うけれど、この演出はこの先のパーシー・ショーブラン・マルグリットの3人の関係を見るには十分だと思います。ここが言いたかった…!実際に観ないとうまく伝わらないかもしれないけれど、あの暖かいのにどこか仄暗さのあるオレンジの光と、底が見えず不気味で不穏な黒の対比・バランスが好きなんです。

 ショーブランがいた位置(x値において)から現れるのは2人の結婚を証明し祝福する司祭(牧師?)なのがまたなんとも良い。さっきまでの不穏さが全く感じられない白・白・白の人物・衣装・舞台装置!ショーブランたちジャコバン党側の人間はメルシエさんたちも含め真っ黒なので、ギロチン装置を後ろへ引いていてもうまいこと背景の黒に溶け込んでいくのが自然だしいい意味で目立たない。彼らとは違うけれど冒頭などの装置を動かしていた完全な黒子さんたちも本当に自然でした、まさしく黒子。

 マダム・ギロチンと疑いのダンスの構図は装置の置き方なんかが多少被っているのでそちらとやや記憶が混ざっているかもしれませんが、大きな違いであるマルグリット・パーシーの不在がラストで一瞬カバーされて一幕ラストの疑いのダンスへ繋がっているのだろか…だとしたら凄すぎる。パーシーとショーブランの立つ場所は入れ替わっているけれど。疑いのダンスはバーンっと構図や意思が客席に向かってくる一方ギロチンは奥へ向かって消えていってしまうから不穏さや不気味さ、悪役さが際立つんだろうなあ、とも感じます。

 

 なんだか最初のほうは比較的きっちり書けていた気がするけど演出のあたりからぼんやりふわふわした文章になってしまった気がして若干歯がゆい。とりあえずこれを読んで梅芸版行ってみたいなと思ってもらえたら幸いです。まだまだS席チケットありますよー!!


<参照サイト>
BW版スカピン和訳1曲目:マダム・ギロチン(https://twishort.com/E2qlc)
Scarlet Pimpernel - Madame Guillotine Lyrics (https://www.lyricsmania.com/madame_guillotine_lyrics_scarlet_pimpernel.html)
Madame Guillotine Lyrics (http://www.lyricsondemand.com/soundtracks/s/scarletpimpernellyrics/madameguillotinelyrics.html)