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舞台俳優ファンの観劇記録

映画刀剣乱舞:未見の審神者さんへ

 

🎊映画刀剣乱舞応援上映開催おめでとうございます!🎊

 

 今更すぎる気もしますがもしかしたら応援上映のニュースで興味を持たれた方もいるかもしれない!と滑り込み公開に至りました。ちょっと迷っている方も、是非お近くの映画館へ足を運んでいただければ幸いです。日によっては満席の回もあるようなので、お早めのご予約をお勧めします。

 

 さて、公開前から事前情報を何も入れるなとアナウンスされていた本作ですが、結論から言うと間違いなくネタバレを踏まずに行くのが最良でした。正直なところ、予告も見ずに劇場で観ていただきたいくらいです。

  このエントリは未見の方でも問題なく読めるよう書いたつもりです。が、それでも本当はこれも読まずに行ってほしいと思っているので実写に抵抗のない審神者と歴史もの好きはとりあえず観てください。推し刀剣男士・俳優・武将がいなくても後悔はしないと思います…!

 個人的に、長谷部は他のものと比べても一番原作のキャラクターに近かったような気がしました。長谷部沼の審神者の皆様、ぜひ、映画館へ。

 

①「刀剣男士」であることの意味

 刀剣男士は人の形でありながら人ではなく、長い歴史を経た刀剣としての記憶を持っています。

 だからこそ各キャラクターの台詞や回想が成り立つわけですが、映画では「刀として在ったこと」の意味がかなりクローズアップされていたように思います。

 その刀剣としての歴史、背景が彼らを作っているからこそ、本能寺の変という歴史的事件とそれを取り巻く人間たちと関わり合うことの意味が生まれていました。

 映画には織田信長の元にあった刀が複数登場していますが、刀剣男士としての彼らはあくまでもその期間を歴史の一つとして認識できる立場にいるわけです。

 審神者という主人のもとで歴史にどのような目線を向けるのか、その解釈もぜひ観ていただきたいポイントです。観賞後はH 122号の小林靖子さんのインタビューを読まれるとよりキャラクターの深みが増すかと思います。

www.rockinon.co.jp

 これは織田の刀や今回登場した男士に限らず、すべての刀剣男士についていえることです。ゲーム内で語られる元主との記憶を持ちつつ審神者に仕えること、そのスタンスのひとつをこの作品で提示されたのではないでしょうか。

 そしてこの刀剣男士の描き方こそが、「歴史ミステリー」として映画を語っている理由でもあるのではないかと考えています。

 

②システム描写の丁寧さ

 上でご紹介したH 122号にも詳しくあるように、今回の映画ではゲーム内で細かく描写されないシステムが丁寧に描かれています。最も印象的なのはやはり出陣ではないかと思いますが、私がここでご紹介したいのは時間遡行軍の顕現様式と刀装の表現です。

 ゲームを進めていると、特に敵の登場グラフィックはなく最初からバナー的な表示が出てきます。ところが映画では最初から目の前にわらわらと敵兵がいるのではなく、きっちり派手に登場するんです。ベタな言葉ですが、まさに「敵が出た!」と身構えてしまう感じなんですよ。

 ひとつの時代に一部隊で出陣すると、1回1回は最大6体との戦闘でもボスマスまでの連戦はこんなに厳しいのかとか、こんな数と戦っていたのかと実感します。特に映画では屋内外さまざまな場所で戦っているので、ゲームのマップと背景絵にぐっとリアリティが出た印象でした。建物や地形を活かしたアクションは必見です!

※予告映像ですがネタバレ注意※

youtu.be 0:42〜0:46や1:08辺りが乱戦・アクション感高い

 そして装備のひとつである刀装は、非常に自然な形で登場します。おそらく種類をわかっている方が見ればぴんとくるけれども、ゲームを知らない人にも違和感なく見られる形でさりげなく大写しになっている場面がありました。

 正直刀装だけはゲーム内でどういった扱いになっているのかずっと疑問だったので、映画の解釈は個人的には納得です。他の種類も登場していたのか、次に観るときは注意しようと思っています。

 

③歴史人物の性格付け

 映画を語る上で外せないのが、山本耕史さん演じる織田信長八嶋智人さん演じる羽柴秀吉です。彼らは刀剣男士や時間遡行軍と対面してもその圧倒的な力を失うことなく、むしろ強い存在感をもって画面に君臨していました。

※映像ネタバレ注意※

youtu.be ナレーションの八嶋さんの存在感がすごい。劇中ではもっとすごい。

 目の前に現れた刀剣男士や時間遡行軍は、当時の人々にとっては等しく異形のものだったはずです。にもかかわらず雑兵のように怯えることなく、むしろ両者を利用しようとする姿は天下人の度量を思わせ、人なくしては刀剣も神も存在できないという人>神の構図を感じます。(cf. 某人理修復ソシャゲ)

 もちろん人ならざる者ならではの視点で男士は行動しているわけですが、だからこそ全く予想通りに動かない信長や秀吉はなんだかとても人間くさくて、それに対する刀剣男士側の戸惑いも含めとても楽しめました。「『歴史としての歴史』を知っている」点では観客も刀剣男士も同じ立場で、それを逆手に取られる仕掛けはかなり爽快です。

 歴史ミステリーと銘打たれた本作ですが、それを成り立たせているのはこうした歴史人物の方々の説得力だと思います。歴史上の出来事を観測者=刀剣男士の目を通して描いた時代劇というか。あくまでも正史はこうだったんだ、という流れを、時間を超越した刀剣男士との関わりを通して鮮やかに描き出した上で歴史人物も刀剣男士も主役になる絶妙なバランスでした。

 主役は刀剣男士ではありますが、信長を取り巻く人々の時代劇としても本当に面白い作品だと思います。そういう意味で、本能寺の変という有名なエピソードは刀剣乱舞を知らない方も入りやすい入り口になっているのではないでしょうか。ゲームやアニメに興味のない方も、そこで引き返さずにちょっと変わった語り手の出てくる歴史ものとして観てみていただきたいです。

 

④衣装と小道具の細かさ

 舞台挨拶で廣瀬さんや定本さんなど出演者の方々も触れてらっしゃいましたが、とにかく衣装や刀の造形が美しいんです。東京での大展覧会に行ってきましたが、間近で見る衣装は手触りも良さそうだし画面での動きも美しいしで、思わず見入ってしまいました。個人的に長谷部の服がベロアみたいだったのと靴下がツボです。これはさすがにネタバレじゃないと思うので画像を載せますね。

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長谷部の襟元のボタンも好きです 靴下かわいい…
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360度から見られます 刀の使用感もうれしい
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鶯丸の衣装あったかそうでした 生地が厚そう

 ウイッグもさらっさらで、映画での体の動きに合った一本一本の軽さはここからきたのかと思わされました…これから始まる地域にお住いの方は是非こちらも合わせて足を運んでいただきたいです。

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 あと、何より遡行軍が本気で怖い。ずらっと並んでるところは怖すぎて笑いました。最早ある種のお化け屋敷です。でも正直、ここまで細かく再現されているのは非常に嬉しいところです…!

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④映画館だからこその音

 まず、主題歌が西川貴教さん・布袋寅泰さんによる楽曲な時点でこれだけでも聴いて欲しいです。こんなにロックでカッコいい歌で、しかも予告やラストでそれが流れるのがとてつもなく合うという奇跡。本当にありがとうございます。配信が始まっているのでリンクを貼っておきますね。

 ですがここでご紹介したいのは、むしろ劇中の音楽や効果音です。

 予告編や特別映像などでも少しだけ聞くことができますが、物語の背後に流れる音楽は必聴です。私は秀吉軍のバックで流れる音楽がかっこよくて好きなんですが、きっとどなたでもお気に入りの曲が見つかるのではないでしょうか。戦の高揚感もそれぞれの不信感も本丸の平和さも、全部が音楽の力でより美しくなっているような気がします。

 戦場での音は映画館ならではの迫力と臨場感があり、映像への没入感が高まります。やはり複数方向から音が聞こえると距離感や方向を感じやすくて楽しい!屋外での戦闘などロケーションにこだわった今作だからこそ、ぜひ映画館で観てください。映像だってやっぱり大きなスクリーンで観た方が作品に飛び込めるし体感具合が段違いだと思うんです。応援上映はどちらかといえば既に観ている人向けかと思いますし、未見の方にはまずはゆっくり通常版で観てもらえたらなと思います。

 因みにBGM以外の音で私が好きなのは時間遡行軍の声(?)と地面を走るときの足音です。遡行軍の唸り声はビジュアルと相まってめちゃめちゃ怖さが増してますし、走ったり歩いたりする音はそこだけ取り出して何度でも聞きたいくらい心地良いです。単なるフェチといえばその通りなんですが、これから観る際はちょっと気に留めていただけたら…。そして他にもこれいいなという音があれば教えていただけたら嬉しいです。

 

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 長々と書いてきましたが、少しでも「映画 刀剣乱舞」に興味を持っていただけたら嬉しいです。刀剣乱舞自体を知らない方でもすぐシステムや概念に入っていけるような作りになっていますし、レイトショーやレディースデー放映などもまだまだありますのでお気軽に足を運んでいただけたらと思います。どうぞ宜しくお願い致します。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

 

RedBeard