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舞台俳優ファンの観劇記録

映画『ゼニガタ』観てきました

 こんにちは、お久しぶりです。今日は突発で修羅天魔のライビュ…を観に行こうかなと思ったのですが、同じぐらいの時間にゼニガタが新宿最終日の放映をしていると知りそちらへ。

 結局修羅天魔を観られなかったこと、髑髏城全体の振り返りが流れたらしいことなど残念ではありますが、結果としてこちらも見逃さなくてよかったなという感想なので良かったかな。こんなに上映期間が短いとは思わなかったので焦りました。スケジュールチェック大事。

 

 新宿では今日が最終日だそうですが、関東の他の上映館ではまだ続いているところもあるそうなのでまだご覧になっていない方はぜひ。

 それでは以下玉城さん中心の感想です。

 

 

 2018.05.31(Thu) 映画『ゼニガタ』at シネマート新宿

 

 いろいろな意味で怖くて現実感が重い映画。この先なにがあっても闇金だけは絶対に借りない……(x_x)取り立てが怖すぎる。

 ネットでの予約段階では4席しか埋まっていなかったのが、行ったら当日券を買い求める人が多くて驚きました。最終的に10人くらいは入ってましたかね。

 ほとんどが男性客かつ30後半~60歳くらいの年齢層で、誰かのファンと言うよりもこういうタイプの映画を好んで観る層がメインなのかなと思いました。ちらほらいた女性客は私みたいな俳優さん目当てでしょうか。普段こういった作品を観ないのでよくわかりませんが…。

 

 

 さてさて肝心の玉城さんは、「この人天才なんじゃないか?」と思う演じっぷり。私複数の俳優さんを応援していますが、映像もうまいなあと感じるのはじつは玉城さんだけです。役柄はいつも通りのやられ役、と思いきや、冒頭から登場して終盤まで物語の動かし役!に近いポジションで嬉しい大活躍。番宣や公式ツイッターにはぜんぜん名前が上がらなかったけれど、存在感もばっちりだったと思います。好き。

 ひたすら銭に振り回されて自分の意思と関係なく堕ちざるを得なかった人、という役割だったかと思いますが、その様子が本当に哀れで可哀想ででも弱々しさが人間ぽくて。 途中銭形から金を奪い返せと言われた直後のシーンの独白、あれがとても印象に残っています。記憶にあるかぎりで書き起こし。


「△△していたらいつの間にかリーダーになっていた/でも本当は自分が弱いことはわかっていた/だから磯ヶ谷に出会って(略)上納した/(略)/強くなることを諦めれば楽になれるのに/諦められないから○○○○/○○○○から1つのことに集中できない/集中できないから何にもなれない」

 

 淡々としたトーンで語る声を背景に、くしゃくしゃと頭を抱えてよろめく姿にはどうにも身動きが取れない苦しさが詰まっていて。あそこで本格的に彼のことが好きになりました。一番好きな画面の一つです。樺山に限らず、主役以外のキャラクターがさりげなく掘り下げられて自然に感情移入してしまうすばらしいつくりでした。

 情けなくて流されて思い付きで動いて追い詰められて、最終的に破滅する樺山は決してヒーローではないけれど、悲しいくらい普通の人間で愛おしいです。もうなんにも怖いことはないからおいでって抱きしめて安心させてあげたい。ほんと好きだし庇護欲が刺激されます。例のシーンは肌色が多くて一瞬びっくりしました。

 元仲間に不自然なくらい急に呼ばれてつぶやく「ありがとう」、罠だったとわかって絞り出す「おれ、うれしかったんだぜ…?」のつらさ、「俺はお前のことちゃんとわかってるよ」と言われて見せる人懐こい笑顔、自分の運命を悟った笑い声と光がいっぱいに当たる美しくて綺麗な笑顔、どれもが切なくて好きでした。こんな繊細な演技のできる玉城さん、尊敬です。

 

 そのほかのキャストさんは主演の大谷さんと小林さんをはじめ、しっとりした雰囲気で演じられる方々という印象でした。個人的に田中俊介さん演じる剣持と銭形兄弟の関係性が好きです。剣持生きてたんかい!笑

 兄弟間の微妙な空気感と距離感はなんとも言えず心地よくて、それが単なるマネーストーリーではなくヒューマンドラマのような印象を受けた原因かもしれません。 冒頭は暴力の激しさとお金の心理に怖さがありましたが、後半は慣れただけでなく確実に物語の主軸が人間関係に移っていったように思えて物語に没入していました。大谷さんの落ち着いた雰囲気や画面の静かさが果たした役割は大きかったかと思います。少年の頃と同じように座って並んでいる構図はなんだか私まで感慨深かったです。

 途中かなりフェードアウトしていた真田さんも彼女がいることで富男さんが異変に気付けたり、またラストが救いのある終わり方になるために必要だったんだなと物語の中の希望のような人に思いました。必要に駆られて銭形を頼りつつ、銭を見失わず平和に暮らす人もいるんだなとほっとした気持ちです。

 

 脚本も物事の解決までにまだ終わらない、まだ見せてくれるというようないくつもの山があったので実際の上映時間以上に作り込まれたものを見た気持ちでした。だいたい展開が読める範囲で終わってしまうものが多い中、おっまだ続きがあるんだといい意味での意外の連続でした。どこか連続ドラマっぽいのかな。ラストまでうるさくない程度にそうだったの!?というネタまで入れてくれて、最後まで味わい深い内容でした。この脚本と演出の感じ、好きです全体的に。

 

 最後にひとつだけ。ラストシーン、いかにも“いい話”みたいに終わってましたけど自業自得とはいえ破滅した側もわりと好きだった私からはんー?んー!!?それでいいのか!!?と思わなくもなく。笑(^^;; いいラストだとは思うので不満とかではないんですけど!w 主人公とその他サイドの差ですね。みんな幸せに暮らせるといいな…。

 

 

 駆け込みではありましたが、観に行けて良かった!女性が1人で観にいくのは躊躇する内容かもしれませんが、暴力や血液・多少の性表現が大丈夫な方は行ってみるのをオススメします。

 

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。

 

RedBeard